アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見たよって話
ライトなオタクでも、そのアニメの名前を知っている人も多いのではないでしょうか。
数年前に放映されたアニメ作品ですが、放映時よりストーリーや作画の綺麗さが高く評価されている作品です。
オススメのアニメーション作品をまとめたサイトだとだいたいTOP10には入っている印象です。
ですが、私は斜に構えた捻くれ者で、流行りに乗っかるのは好きではない性格なので見たことがありませんでした。
というのは半分冗談で…
評判の良い重厚なストーリー=しっかり腰を据えて見ないと追いつけない
と思っていたので、避けていた節もありました。
私は、ながら見できる内容の薄いアニメを、ゲームとか資格試験の勉強をしながら見るのが好きなのです。つまり、マルチタスクで人生を消化していきたいのです。
なので、アニメ1作品をしっかり見るというのを長らくしてきませんでした。
今回、久しぶりに三連休が取れたのですが、雨でやることもなかったので、見てみることにしました。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンとは?
一応2015年〜2020年まで刊行されていたライトノベルが原作となっています。
アニメーションの方は2018年の冬季(1月〜4月頭)の放映でした。その後、2019年、2020年に映画が制作・放映されました。
そのうちの1作は地上波でも放映していた気がします。
アニメの構成的には、基本的に一話で起承転結まで終わるので、見やすいっちゃ見やすい内容です。
ただ、全13話+OVA、映画2作品を通して主人公“ヴァイオレット・エヴァーガーデン”の成長が描かれているので飛ばさずに見たいところです。
あらすじは?
最初に書いておくと………
“ヴァイオレット・エヴァーガーデン”とは、主人公の女の子の名前である。
主人公の女の子は、人間である。
自動手記人形とは、手紙の代筆サービスの職業名である。
という事を前提に読まないと、?マークしか浮かびません。
以下、wikipediaより抜粋。
4年間にわたる東西南北による大陸戦争が終結。その戦場で「武器」と称されて戦うことしか知らなかった少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、激化する戦場で両腕を失い、自在に動く義手を着けることを余儀なくされる。
退院したヴァイオレットは、ホッジンズの下で、自動手記人形としてC.H郵便社で働きはじめる。ヴァイオレットにはかつて戦場で誰よりも大切な人・ギルベルト少佐がいた。最後に聞かされた「愛してる」という言葉が理解できなかったヴァイオレットは、仕事と日常を通じて人と触れ合いながら、その言葉の意味を探していく。
以上。
最初にも書いたのですが、私はこの作品を実際に視聴する前まで勘違いしていたのですが、主人公は「人間の女の子」です。
あらすじを断片的に拾う&イメージ画像を見ると、自動手記人形という単語に鋼鉄の手………
↑鋼鉄の義手………
主人公はメカ娘か!?
と思ってしまいがちですが、しっかり血の通った人間です。戦争で両腕を失ってしまいましたが、高度な技術で自在に動く義手を装着しています。義手のテクノロジーについては言及はありませんね。
でも、主人公がメカ娘と勘違いしてしまうのも無理は無くて、作品内でも
↑登場人物の女の子がヴァイオレットの頬を触るまで、本当に動くお人形だと勘違いしていたりなど……
作品の世界でも彼女は、感情が希薄で人間ぽくなかった振る舞いをしていたのですから、しょうがないですね。
↑可愛いけど、無表情の描写が多い。
ストーリー
あらすじにも書いてあるとおり、主人公はヴァイオレットという、戦場では敵無しの少女兵。
↑つよい。
孤児であり、幼いときに軍人に拾われてから戦場で人を殺めることしかしてこなかった為、喜怒哀楽の感情が薄い。
アレキシサイミアというのかな?「自分の感情が既存の言葉に当てはまっているのかの判断つかない状態」というやつ。
↑ヴァイオレットが「しょーさ」と慕う少佐。名前は忘れた。
そのヴァイオレットが、ずっと世話をしてくれた上官が戦場で亡くなる寸前に言われた言葉、「愛してる」の感情・言葉の意味を知りたいと、人の感情を汲み取って手紙を代筆する“自動手記人形”という郵便社の職に就くことに。
↑自動手記人形サービスとは、語彙力が無くて上手い文書が考えられない人、文字を書けない人、などを対象に、書いてほしいことを、抽象的でも伝えるとよしなに文書に起こしてくれるというサービス。
現実でも代筆屋ってありますよね。手紙やその他文書をうまい文書で書いてくれる職業ですね。
ただ、文字の読み書きができないなんて人はこの現代日本においては、ゼロに近いでしょうし、手紙自体は出す人が少なくなりましたし、語彙力や構成についても手紙の例文なんてネットで調べれば腐るほど出てきます。
これは代筆と言うべきか微妙ですが、司法書士とか行政書士なんてのは有名な職業ですよね。
様々な境遇、性格の人々の仕事を請け、手紙を代筆していくことで、言葉の意味を知りながら、ヴァイオレットが人間的に成長をしていく物語を描いていくという話。
↑笑顔を作り出すことには成功したようだ
ちなみに、エヴァーガーデンってのは、戦争が終わったものの、孤児で引取人が居なかったヴァイオレットを引き取ってくれた家族の苗字。すげー名前。
↑ヴァイオレット・エヴァガーデン
まぁ、その“お客様”とヴァイオレットが書いた手紙が紡ぎ出す、ベタなお涙ごっつぁんな物語です。
世界観
世界観は、ヨーロッパぽいイメージで、ドイツ・オランダあたりでしょうか。
↑すごいヨーロピアン
時代的には1930〜1940年代あたり。
戦争の描写も昨今流行りの異世界転生先のファンタジー世界のように剣でキンキンキンキンキンキンと戦う感じではなく…
銃をバンバンバンバンバンバンと撃ち合う時代です。
魔法もないので現実世界でのお話のようです。(ヴァイオレットの義手などオーバーテクノロジーも一部ありますが)
↑オーバーテクノロジーの義手
作品に登場する銃は、カラビナー98のような銃でしたから、やっぱり1940年前後が舞台でしょうか。
ガンマニアではないので、わかりませんが、雰囲気は伝わりますか?
↑カラビナー98(1935〜1945年頃)
また、ヴァイオレットの同僚であるベネディクトの駆る配達用オートバイ
↑初代カブ号のような原動機付自転車。
↑カブF号
現在のスーパーカブの元となったモペット(ペダル付きの小型オートバイ)
ただ、個人的に印象に残ってるのは、映画版・外伝(本編の数年後)に出てくるサイドカー付きのオートバイでした。
↑かつてのトライアンフのスピードツインか、タイガーのようなイメージ。
加速時の音源はW1のような歯切れの良い音でした。Wシリーズかビンテージトライアンフの音だと思います。たぶん。とりあえず良い音なんだ。でも作画はVツインなんだよなぁ。でも音は絶対バーチカルツインの音なんだよなぁ。
↑トライアンフ スピードツイン(1948年頃)
ちょっと話がそれましたが、世界観はそんな感じです。
感想など
ということで、アニメ、OVA、映画すべて見てみました。
ストーリー的には基本1話簡潔で、非常に見やすいのですが、1話が他のアニメに比べると濃密に感じました。
そりゃ、剣でキンキンやるような描写や魔法でドッカンバトルやるようなアクションアニメではないので、人との会話や心情の描写に時間の殆どを割いているわけですから、濃密になるのは必然です。
例えるなら、サッパリ美味しいトップスのチョコレートケーキが進撃の巨人だとすると、ヴァイオレット・エヴァーガーデンはズッシリ濃厚なピエール・エルメのキャレマンショコラなのである。
カッコよくチョコレートケーキで例えてみたのですが、分からない?
そうですね………
アイスで例えるならワンピースがスーパーカップで、ヴァイオレット・エヴァーガーデンがハーゲンダッツのような。
どちらも美味しいんですが、満足感のベクトルが違っていて、スーパーカップの方がサッパリと食べられる反面、量が多くて食べ終える頃にはかなりの満足感を感じますよね。
対してハーゲンダッツは甘さも濃厚さもズッシリ重くて、小さめのカップ1個食べると、それだけで結構な満足感ありませんか?
この、「満足感」の感じ方に差があると思います。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンは1話が濃厚だということ。そして1話毎、区切りがないいところで終わるので、視聴後に満足感が感じやすいです。
満足感を感じる反面、「もういいかな?」と感じてしまう瞬間もありました。
理由としては、
途中、ヴァイオレットが仕事をうまくこなせるようになってから………
①様々な事情を抱えた依頼人がいます。
②ヴァイオレットが訪問して手紙書きます。
③なんやかんやあってハッピーorお涙頂戴エンド。
↑お涙ごっつぁんでぇす。
このループが繰り返され始めるからです。
ただ、結局12話しかないので、見終わる頃には「もう終わり?」と思ってしまうのも事実。この辺は、ストーリーの濃さと話数のバランスも絶妙なんでしょう。
そして、なにより残念アニメにありがちな後半にかけての駆け足感が無く、最後まで安心して見ていられた作品でした。
まぁ、ボスを倒すとか世界の危機を救うとかそういうエンディングありきの物語ではないからということもあるのでしょうが。
また、京都アニメーション作品は毎度のこと映像美についてよく語られていますが、そんな沢山アニメを観ていないニワカな私でも綺麗な色遣いだなぁと感じましたし、髪の毛などの書き込みは細かく綺麗だと思いました。
↑書き込みが細かくて色遣いも綺麗だと思いませんか?
↑それでは比べてみましょう。
ごめんて。
でも、本当の話、ジブリ作品や新海誠の作品もそうなのですが、綺麗で細やかなこだわりのある作画は作品に命が吹き込まれると思います。
髪や服の揺れ、キャラクターのちょっとした表情の変化や動き、水や光、雨の表現、自然の景色や建物の色遣い、衣服やバッグの素材感などなど………
特に映画版を見てしまうと、そのへんのアニメ作品に満足できない程に目が肥えてしまう気がします。
↑やはり景色とか空の色とか、その辺のアニメとはレベルが違うと思う。
アニメーションに興味が無い人でも一度は見てみる価値はあると思います。
あぁ、最近のアニメってこんな綺麗になったんだなぁ…と思いますよホントに。
ストーリーは感動系で誰でも馴染みやすい内容ではないでしょうか。
↑ヴァイオレットの心の成長を見守ろう。
ここ数年で見たアニメの中ではかなりオススメの1作でした。
ぜひとも時間のある時に視聴してみることをオススメします。
↑もう疲れたので………
今回はこのくらいにしておきます。