青空と緑と自然に包まれた街、コモアしおつ。
コモアしおつ公式サイト コモアの風
甲州街道を走っていると、山梨県に入ったかな…というところに、山の中の道に似つかわしくない連絡通路が目に入ることでしょう。
↑Googleストリートより拝借
甲州街道にかかる謎の連絡通路。田舎には似つかわしくない近未来的外観………
そう、これがJR四方津駅と天空の街、コモアしおつを繋ぐ、コモアブリッジと呼ばれるエスカレーターへの連絡通路なのである。
ということで、どんな場所なのだろうと、気になった次第。
コモアしおつに足を運んでみることにしました。
そもそもコモアしおつってなんなのよ?
山梨県上野原市に存在するニュータウン………まぁ、簡単に言いますと、山を切り拓いて作った住宅地ってところでしょうか。
コモアしおつ内には、一戸建てがひたすら並んでいます。マンションやアパートなどはありません。
↑現地にあったコモアしおつの全体マップ
1980年代のバブル経済の時代、都内の地価が高騰………その中で「安く一戸建てが建てられる地価」「都心にギリ通える」その2つの絶妙なバランスが取れた場所はどこだろうか?
と考えた時に選ばれたのが、山梨県の中でも最東に位置する上野原市でありました。
↑1番右側の赤いところが上野原市。
※wikipediaより参照
北側に東京都の奥多摩、東側に神奈川県の相模原市が隣接しています。
山梨県だし土地は安いでしょう。安月給の私でも一戸建ては夢じゃない…気がする。
ちなみに、令和5年3月現在で中古物件の価格は、築30年あたりで1500万〜2500万前後の物件が並ぶ。
ちなみに、土地代だけだと………
↑んんん?もしかしてだけど、広さと場所にもよるけど新築建てちゃったほうが安い?
だが、山梨県だ。
山梨から都心に毎日通勤するイメージはなかなかわきません。
実際、都心からのアクセスはどうなるのか?気になるところです。
朝8時30分に始業と仮定して、8時頃に渋谷駅に着く想定で経路検索してみました。
↑1時間30分程度で到着できることに驚く。
意外にも四方津は、東京から80km程度しか離れていません。
というか恐るべし中央特快。
↑はてさて終電は………
呑兵衛のお父様方にはちょっと厳しい時間ですかね。
まぁ、山の中に住もうと考える人が毎日繁華街で飲み歩くってのも考えづらいですが。
ただ、これだけ見ると6時半の電車なら…と思うかもしれないが、自宅からコモアブリッジまで徒歩10分。コモアブリッジから四方津駅まで15分と考えると、5時には起床して6時には家を出ないと少し心配。
通勤に2時間〜2時間半と考えると、往復で4〜5時間。一日の1/5くらいが移動の時間と考えると、都心への通勤は厳しいものがあるかと思います。
都心まではさておき、立川までは電車だけで約30分。
立川〜八王子あたりに勤務しているのであれば職場まで1時間ちょいでしょうか。十分通勤圏内でしょう。
それに、中央自動車道の談合坂ICが近くにあり、東京や甲府までのアクセスは悪くない。まぁ、東京にしろ甲州にしろ1時間半くらいはかかるのだが…
私的に気になるのは、子供が大きくなった時に、山の手の名門私立中学・高校に通いたい…とかの考えが出てくると大変かもしれないということ。
まぁ、結婚もしてない奴が何考えとんじゃいって話なんですがね………
大学は一人暮らしするにしても、中高は一人暮らしさせるわけにも行かないので、全寮制でもないと辛いですね。都内に全寮制の学校も少ないと思いますが………
そう考えると、自分がテレワークなりフレックスタイム制度を利用できる環境にあっても、子供のことを考えると移住は厳しいかなと考えてしまいます。
子供達が成人して、自分が50代か60代になり、少し落ち着いて暮らしたいなぁ…と思ったらいい場所なのかもしれません。
現在、このコモアしおつには、1239世帯、約3500人ほどが住んでいるようです。
町をプラプラ散策してみると、以外にも高齢者ばかりというわけではなさそうで、子供のいる家庭も思っていたよりは多そうです。
公園を走り回っている子供も都心と比べたら少ないですが、居ないわけではない。
そういう光景を見ると、思っていたより高齢化は進んでいなさそうと感じたのが率直な感想です。
意外にも若い人が多い。30代くらいの若そうな夫婦から、小さなお子さんを連れた家族まで意外や意外“若い人が多いな”と感じました。
高齢化&過疎化は、当面の間はあまり気にしなくてもいいのかもしれません。
限界集落となるのはまだまだ先のようです。
コモアしおつ名物コモアブリッジとは?
コモアしおつは、山の中腹を切り拓いて造成されており、最寄りの四方津駅からだと、軽く山登りをしないといけません。それか、車でひたすら坂を登っていく。正直電動自転車でも毎日はキツそう。
そんなところ電車で通勤していたら普通住めないですよね?
だから、山登り用のエスカレーター&エレベーター造ったろ!
ということで出来たのがコモアブリッジ。
私は、これに乗りたくて訪問したまであります。
↑現地に模型がありました。
これを見ていただければわかる通り、山の下側がJR四方津駅です。真ん中のひたすら山頂に延びている橋みたいなやつがコモアブリッジ。山頂側がコモアしおつです。
実際に見てみると迫力あります。
↑下からエスカレータ部分。
約210mほどあるそうです。
左右にエレベーターが併設されています。
行った日は日曜日だったので、エスカレーターには乗れず………
↑コロナの影響らしい。残念。乗りたければ平日か土曜日なら動いてるぽい。
↑上からエスカレーター部分。上から見ると、ここで転んだら絶対死ぬって感じるレベルには怖い。
↑落ちたら死ぬ。絶対死ぬ。
ちなみに、エスカレーター&エレベーターは三菱電機製。エアコンも三菱電機製。コモアしおつ民は三菱電機に生活の足を握られてるといっても過言ではないかも…?
↑エレベーターの入口。エスカレーターを挟んで2基あります。
↑今どのへんにいるかわかる表示。下から上までだいたい5分程度かかりました。
↑広さは6人乗ったらいっぱい。頑張れば8人くらいは乗れそうです。通勤ラッシュの時の込み具合が気になるところ。
↑エレベーターは斜めに動くタイプで、観光地のケーブルカーみたいな雰囲気。ここのエレベーターは、「斜行エレベーター」とか呼ばれているらしいです。
ちょっと怖いけど、スピードはかなりゆっくりです。
↑外は自然に囲まれていて、景色は良い。
朝は絶対気持ちいいと思います。
↑多分、エスカレーターが動いている時間帯は、途中も止まるのでしょう。
↑終点はこんな感じです。
ということで、下に着いて、四方津駅方面を見渡してみる。
↑これが甲州街道にかかるコモアブリッジと四方津駅を繋ぐ通路です。
↑反対側には四方津駅。
四方津駅自体は質素な感じでザ・田舎の駅といった感じです。
ということで、四方津駅周辺は何もないのでまたエレベーターで上に戻る。
↑上から撮ってみてもやっぱり凄い。
いかにもバブル時代の遺産といった感じ。
これが1990年代前半には完成していたと思うと感心します。そして、こんな山の中を約1400世帯分大々的にに切り拓いて、資材を持ち込み、道を作り街を創る。
バブル時代でもないと出来そうにないですね。
↑コモアしおつ側のコモアブリッジ入口。エスカレーター&エレベーターはもちろん無料で乗れます。
四方津駅と街を繋ぐコモアブリッジは、コモアしおつに住む方には無くてはならない設備です。30年以上、この天空街と地上を繋ぐ唯一の施設と考えると感慨深いですね。
コモアしおつには何があるの?
観光地ではないので、何も無いっちゃ無いです。あったらあったで、せっかく山の中の静粛を求めて引っ越してきた住民の方々が困るでしょう。
コモアブリッジの入り口の横には積水ハウスの事務所がありました。
↑積水ハウスが造成しただけあって、事務所がありました。実際は積水ハウスを通さないと買えないのかな?
↑新築を建てるにはいろいろ制限や仕様があるみたい。街の景観を崩さない為…という理由。これを満たすようにうまく家造りできるのは積水ハウスだけってコト!?
たしかに、街並みはかなり綺麗で、中心に入ってしまえば、街路樹や道路、街灯も整備されており、建ち並ぶ家も比較的綺麗で新しく、そして広い庭付き。その大きい家々立ち並ぶ光景は、都心の一等地の住宅街に迷い込んだといっても過言ではないと思います。
↑街の唯一の買物スポットである、コモアプラザ。
中には、スーパーマーケットの公正屋、100円ショップ、積水ハウスの事務所、歯医者などが入っていました。
公正屋ってなかなか都民の方は聞かない名前のスーパーですが、これは名古屋あたりで主に展開しているバローグループの一つです。
私はバローHDの株を持ってたから知ってましたが、バローグループの中でもなかなかマニアックなスーパーですね。
あとは、ファーマーズコモア。いわゆる野菜とかの直売所です。
↑私は普段野菜買わないので、高い安いの判断はできませんが、現地で採れた新鮮なお野菜が並んでいました。
基本は現地の方が買いに来ている感じで、道の駅みたいに、誰でもウェルカムというよりは、ひっそりと営業しているような感じでした。
場所もコモアブリッジから離れたところにあるので、観光目当てでは行きにくいと思います。行くなら車でないと難しい場所かもしれません。
大きな施設というと、このくらいしかありません。あとは、薬局とかは一応あるみたいです。
暮らすには不自由が無いのかもしれませんが、コンビニなんて無いし、娯楽施設はもちろん無い。自転車屋さんもバイク屋さんも車屋さんも無い。そして何より総合病院が無い。これが少し心配かも。救急車も到着まで時間がかかることでしょうから、近くに頼れる病院が無いというのは少し心配かもしれません。
コモアしおつは成功したのか?
↑コモアしおつ全景
さて…気になるのはこの「コモアしおつ」、ここまで大々的に造成して成功したのか?って話。
造成が終わり、住宅が建ち始めたのが1990年代初頭から。
庭付きの一戸建てが、5000万〜7000万円くらいで買える!という触れ込みで、当時はかなり人気だったようです。
今では、5000万出すなら都心の中古一戸建てくらいは買えそうですが、当時の都心の地価は今よりもっともっと高かったのです。
バブル経済が終わり、都心の地価が下がってくると、途端にコモアしおつの人気は失速してしまいます。わざわざ都会からここに出てくる意味も無いからですね。
そこで積水ハウスがテコ入れ。街の景観を良くしようと、建売する家に木を多く植えたり、隣家との間には塀ではなく低めの樹木を植えた。町並みにはモミジやメタセコイアを植林。さながら高級住宅地のような佇まいになり街全体をバリューアップ。
住宅街でありながら、都心のように建物同士が密着していないのも特徴。せっかく山の中に住むのだから、窮屈な思いはしたくない。
そんなイメージアップが功を奏したのか、今でもポツポツと売れているのだとか。
特に、東京からの移住組も居るそうですが、地元の若い人にも人気らしいです。
確かに、もともと山梨、特に大月あたりまでに住んでいる人であれば、コモアしおつも移住先として選択肢に十分入るでしょう。
キレイに整備された土地に、3000万〜4000万くらいで庭付き新築一戸建てが建つと考えれば、確かに悪くは無い気がします。
もちろん、一戸建てを買う人の絶対数はだんだんと減少傾向ではあります。
当初の計画戸数は1400世帯程度だったコモアしおつ。
もともとキツキツの1400世帯計画であったと考えると、現在は一つ一つの区画を大きくして余裕をのある街作りを進めてきたのですから、入ることのできる戸数は更に少ないでしょう。
それから考えると、30年程経過した今現在でも1239世帯が埋まっているというのは、なかなか埋まっている方だとは思いませんか?
↑景色は絶景。山々に囲まれて過ごすのはある意味贅沢なのかもしれません。
余談ですが、コモアしおつで話題になるのが、千と千尋の神隠しのモデルになった場所の1つだということ。いやいや、台湾でしょ?群馬、長野、愛媛などの温泉街でしょう。
わかる。たしかにそう。でもちょっと違う。
↑物語冒頭のこのシーンは、甲州街道の「コモアしおつ入口」の交差点が元ネタ。
荻野一家の移住先(アニメ上の名前は、とちの木)として描かれています。
アニメでは、ここの入口を登っていくと段々と道が悪くなり、しまいにはお父さんのアウディクアトロでないと登れないであろう山道を進んでいく。
というシーンに繋がる。
↑コモアしおつへの道路は、実際はこんな山道ではなく、整備されていて綺麗な道路です。
↑実際に四方津トンネルという長めのトンネルはあります。
まぁ、メインの湯屋に入る前ですし一瞬ですからあんまり話題にもなりませんけどね。
ということで、人にオススメできる観光地はも無いのですが、コモアブリッジは乗ってみる価値アリです。一度足を運んでみてはいかがでしょうか。