去年の3月くらいに大型2輪の免許を取り、3月の下旬くらいに私の元にやってきたカワサキW650。
1年くらい乗ったので個人的レビューでもしたいと思います。
他のバイクに乗ったことがないので、良いところ、悪いところは明確に分からないのですが、少しでも初心者が乗った感想的なものが伝わればいいなと思います。
↑奥多摩のどこかで
だいたい1年で6000キロくらい走りました。
高速は走ったことありません。バイパスは走りました。基本は下道の街乗りです。
渋滞も経験しました。峠も走りました。立ちゴケもしました。そんなこんなで1年間W650と向き合いました。
なんでW650を選んだのかって話
まずは、W650を選んだ理由から。
まず、デザインが良かった。
クラシカルなデザイン、二本出しのマフラーがカッコよかった。
ベベルギア駆動っていうのも、(カムチェーンと比較して何が良いのかよく分からなかったけれど)他に付いてるバイク無かったしオンリーワンみたいな感じがあって特徴的だった。(デザイン的にはあまり好きではない)
他にはうーん………
……………そんなもんかな。
別に乗りやすいとか、エンジンがどうとか………そういうのは無かった。
サーキットを走るわけでは無いですし、バイクに性能は求めていませんでした。
デザインが良ければ単気筒でも二気筒でも四気筒でもなんでも良かったです。
でも、普通二輪の教習車がCB400SFという四気筒のバイクで、大型二輪の教習車がNC750という二気筒のバイクでした。
私は後者の二気筒のバイクの方が回転数をあまり高くせずにトルクでドドドドッと走れる感覚があって好きでした。
購入の直接的なキッカケでは無いですけど、パワーがあって多少ラフに乗れる物が欲しかったのは確かです。
あと重要な事を忘れていました。
セルがついてた。ボタンを押すとエンジンがかかるやつですね。
最初はヤマハのSR400が欲しかったのですが、はじめてのバイクでセルが無いのは少し怖い。
↑ヤマハ SR400
クラシカルなデザインでWより細身。
50ccなら手でペダルを押してもかかるけれど、400ccのキックはいささか辛そうだ。
坂道発進でエンストしたら、どうやってエンジンかければいいの?
という、素朴な疑問。
ちょっと”初心者お断り”な感じがSRにはあった。
そりゃあ、少しの坂道ならばかけられるだろうけど、急坂では無理くないか?下までバックするの?
急坂×右折×エンスト=死
という未来しか見えなかった。
坂道だと降りて押し引きは出来ないし、スタンドかけられないし、不安定だしそんなん無理無理無理無理。
W650はセル/キック併用なのでどっちも楽しめます。たまにキックでエンジンかけるのは楽しいです。
あとは、ホントはGB250クラブマンが欲しかったのですが、めちゃくちゃ高かった。
単気筒のスポーツバイク。軽くて凄い取り回しが楽。
エンジンの形も無骨でカッコイイ。
これが欲しくて免許取ったようなもん。
ただ、マトモな車体は250のクセにW650より高かった。
あとはヤマハのSRV250ルネッサというバイク。これも250ccのクセに凄く高かった。
↑ヤマハ SRV250 ルネッサ
関東圏にマトモな在庫が無かったし、けっこう高い。
エストレヤも高かった。
W650と同じくらいの値段だった。それに、エンジンのデザインが好みでは無かった。
↑こっち側の抑え金具みたいなやつね。ダッサい。普通にフィンにしてくれたら良かったのに。
あと、W650と比べると下部のギア部分と比較して上側のシリンダーと空冷フィンの部分が細くて貧相なので、前から見るとギア部分だけ飛び出して見えて凸みたいな形でちょっと頼りない感じがあった。
ぶっちゃけ、SRのような少し前傾していて、角ばったデザインのエンジンの方がカッコイイとは思う。
250クラスのオールドルックな………クラシカルなデザインのバイクって意外と少ないですから、高値安定なのも頷けます。
人にオススメするならば、デザインも含めて総合的にはスズキのST250をオススメします。
私は、スズキはなんかちょっと安っぽいイメージがあって(実際安いけど)嫌だけど、メーカーにこだわる人そんな居ないでしょ?
↑スズキ ST250カッコイイでしょ?
あと、一点。これが一番大きいかも。
「大型免許を取った以上、一度は大型に乗らなきゃいけないというなんか強迫観念みたいなやつ」
↑一度は乗らないと取った意味が………とか、せっかく取ったのにもったいないなぁ………と思ってしまう。
でも、今は排気量は大型の中では小さいほうですが、一度”大型二輪”というものに乗ったので、どうでも良くなりました。
つまるところ、大型に乗ってたという既成事実が欲しかったのです。
大型はいいぞおじさんに、「大型はいいぞ〜」と言われても、”大型を知った上で”反論したかった。
↑とりあえず大型マウントには対抗したかった。
乗ったことが無いのと、乗ったうえで小排気量車を選ぶのは大きな違いだ。と個人的には思う。
確かに、排気量がW650の1/13しかない50ccのYB-1と比較したら、走っていたら楽だということがよくわかる。
ただ、すり抜けのしやすさとか取り回しのしやすさとか………総合的に見るとW650の勝ち…とはいかない。
バイクに乗って何がしたいかって話
↑タンデムは怖いからしたくない。
ただ、Wはシートも広いしふかふかだしタンデムしやすい方らしい。
結局は、物は使いようって話なんです。
奥多摩の方とかに行くと、細い道も沢山あるのですが、「この先行きどまりだと重くて転回とか出来んしなぁ」と思って踏み込めないのが少しストレスです。
最小回転半径は2.7mなので平均的です。結構ホイルベースは長く感じていましたが、意外と一般的。これ半径だから展開するのには2.7×2=5.4m程必要なのかな。
やっぱり車体は重いと思います。
別に何と比較している訳では無いので、どんなバイクもこんなもんだと言う人も居れば、軽い方だよという意見もあるかもしれませんけど。
狭いガレージから外に出すのもぶっちゃけ億劫です。
W650の乾燥重量は211kgです。ガソリンは確か17リッターくらい入るので、ガソリン、オイルなどなど入れると230kgぐらいになるんですか?
鉄のパーツを沢山使ってたりするから重いのでしょう。空冷の650ccにしては重いかと思いますが、どうですか?
というより、重心が結構高いのでしょうか。
起こすときに、ヨッコイショ………って感じです。
どんなバイクにでも言えることですが、走り出してしまえば安定しますから、重さがどうということはありません。逆に重い方が安定します。
どっしり構えて一定の回転数でゆっくり流すのならばいいバイクです。
ダラダラっと田舎道を流すのが正しい使い方だと思います。それ以上狭い道には踏み込んでいけないけれど………
それ以上細い道に踏み込むならば排気量関係なく乾燥重量で200kg未満のバイクがよろしいと思います。
大型なんだから速いんでしょっていうのはナンセンスだって話
↑180km/hも絶対出ない
このバイク、スピードは出ません。
というか出すのが少し怖いです。
別に実用域では困らないのでどうでもいいですけどね。
怖い原因がなんなのかと聞かれると、6000回転から唸りだすエンジン、ふにゃんふにゃんの車体と、効かないブレーキ。細かいことは以下に書いておきます。
エンジン特性は高速に振ったバイクではないです。低回転でドコドコっとトルクでスピードをのせていくタイプです。
高回転も回るには回りますけど、回して気持ちが良いものではありません。
2000回転〜2500回転くらいまでが気持ちよく走れる回転数です。
3000〜4500回転くらいでブルブルと不快な振動が出てきます。
そして5000回転くらいで振動が無くなってくるのですが、今度はエンジンが唸ってきて少〜し苦しそうです。巡航するには………う〜ん………な回転数です。
6000回転まで行くと結構苦しそうです。
確か7800回転くらいでレッドゾーンです。
そしてギアは5速までしかありません。
例えば高速道路で巡航するとして、5速で100km/h出そうとすると3500〜4000回転くらいです。ちょうど不快な振動が出る回転域です。
その不快な回転数を消そうとすると5000回転くらい回します。そうすると120km/hくらいは出てしまいます。追い抜くときに瞬間的に使うレベルです。
だとしたら、回転数を下げるしかないのですが、走っていて気持ちがいい2500回転くらいで巡航しようとすると80km/hくらいしか出ません。
80km/hというとバイパスでも車にビュンビュン抜かれるスピードです。
ということがあって、気持ちのいい回転数で走ろうとすると、スピードを出したくならないんですね。
あと、車体が結構ふにゃんふにゃんっていうのは、素人が乗っても判ります。バイパスとか高速のカーブを走ってると分かりやすいです。
フレーム剛性が無いのか、サスペンションが微妙なのか。
リアが"うにょんうにょん"って感じでヨジれるので大丈夫かなぁと心配になります。
別に街中を走ってるぶんには問題無いんですけど、そこそこ速度を出して走っていると、いつかスイングアームあたりが千切れてしまうのではないかという不安感に襲われます。
ブレーキが効かないって言うのはその通りで、教習車と同じ距離では止まれません。
これも別に下道ではあんまり気になりませんけど、ハッとしたときに止まろうとするとフロントブレーキを結構ギュッと握り込んで、リアはドラムブレーキでかなり踏み込まないと止まらないです。
リアブレーキの効きが甘いというのは、逆に言えば速度調整がしやすいって考え方もできますが。
低速域はエンジン特性も相まって楽です。
W650のエンジンは低速でめちゃくちゃ粘るエンジンですので、渋滞のときは1速のアイドリングで軽くリアブレーキを踏みながら速度調整しておけば、エンストもしにくいので、低速でゆーっくり進んでいる渋滞などのシーンにおいては楽です。
たぶん、SR等の単気筒エンジンよりアイドリング付近でのエンストはしにくいかと思います。SRは1発なので、他の気筒でのリカバリーが効かないんですね。一発勝負なんですよ。そして、トルクが出る瞬間に波があるので、低速だとどうしてもギクシャクしてしまいます。
「SRは単気筒だからエンストはしにくいよ」と言われていますが、確かにそうなのかもしれませんが、極低速域においてはWの方が安定しています。
あとは、コーナーを曲がる時に少し倒すとステップを擦ります。
これは本当に攻めた走りじゃなくても擦ります。
初心者の私ですら擦ります。特に、坂道になってるカーブ。
↑乗り出して1ヶ月くらいのとき、渋谷の公園通りの所でステップを初めて擦って転けそうになってびっくりした。
ここ、画像では分かりにくいですが、下から左上に向かって坂道になりながらのカーブです。
ステップが後ろに倒れるのですが、足が挟まれそうで怖いというか挟まれて痛い。そして、挟まれて、もう少し倒れるようになると、マフラーやセンタースタンドを擦る。
エンジン特性上速く走る気にならないし、車体の特性上早く走ると怖いし、速度出してもブレーキの特性上止まらないし、倒して曲がろうとするとステップを擦るし………
つまりはスピードを出すバイクじゃないってこと。
大型なのに遅い。そういうキャラクターのバイクだってこと。
総じて言うと?
別に普通に使っていてこれといって不満はありません。
だって誰かと一緒に走りに行くこともないし、ペースを合わせる必要も無いからです。
普通に速度を守って走るぶんには不満はありません。
そして、そもそも制限速度を大幅に超えて走ろうとは思わないバイクですから、遅いという不満は出ません。ゆったりと走るバイクです。
それにトルクが結構あるので、クラッチ操作が少しラフでもエンストしません。
ただ、やはりバンク角が浅すぎるのは少し怖いです。普通にカーブ曲がってもステップの先についてるバンクセンサーを擦ってしまうので。
あとは、モノは使いようの話になるのですが、狭い道とかに思い付きで入っていけないのは少しストレスに感じます。
冒険心に制約がかかるというか。
狭いガレージでの取り回しも、意外と重くて大きいのもあって億劫です。
いや、そんな事買うときに分かるやろ!って思うかもしれないけれど、買うときはカタログスペック見て
「SRと大きさそんな変わらんやん!」
と思っていたけれど、実際届いて見てみると…………
「あれ………大きいぞ?」
カタログ上の数値だけでは大きさや取り回しは意外とわかりにくいものです。
数値的には大して変わらないのですが、Wと比べるとSRは細くて華奢に見えます。
対してWはムッチリグラマーな感じです。
その太さもあって足付きは、思ったより良くありません。思ったよりって言うのは、足付き自体は悪くは無いからです。
シート高的にはSRと大して変わらないのですが、SRより太さがあるため、比べると足付きは悪いです。身長170cmでSRだと両脚べったり付きますが、W650だと、カカトが浮きます。
良いなと思ったところ
デザインがクラシカルでとても良い
トルクがあるエンジンで街乗りや渋滞が楽
セルスターターがついていて安心。キックペダルもあるので好きな方でかけられる。
クセがあるバイクでは無い。乗りやすい。
残念だと思ったところ
ちょっと重くて取り回しがしにくい。
サスペンションやフレームがふにゃふにゃでちょっと怖い。
ブレーキの効きが弱いのが怖い。
シート下のスペースが狭い。
以上、今回はこのくらいにしておきます。